南瓜

変化する南瓜の味と質を楽しむ。

私達の農場では南瓜の品種を例年7品種程栽培しており、お電話で南瓜のご注文を賜る際は、用途や
お好みに併せて、品種をお選びしています。
この際、殆どのお客様が「ホクホクして甘い南瓜が好き」と、仰います。

 

じつは、この「ホクホクして甘い南瓜」というワードこそが私を苦しめる存在。
この呪縛から解き放たれるには、やはり南瓜の性質を知ることから始まると思います。

 

 

【南瓜の性質と味わい】
南瓜はじゃがいもと同様に、澱粉質が糖化し、味わいが増す野菜です。
収穫時は殆どの品種で糖度がなく、熟すと澱粉を糖に変え、同時に水分率が上昇する性質を持ちます。

究極の粉質は、若い南瓜に。
究極の味わいは、熟した南瓜に、あります。

粉質と味わいは反比例するものです。
両方兼ね備える事は出来ず、 世の中に、ホクホクして甘い南瓜は存在しません。
 

 

【若い南瓜:粉質感を楽しむ】
粉質を楽しみたい場合、もしくは切った南瓜が若く澱粉たっぷりだとしたら、一番のお勧めはマッシュサラダです。
まるで男爵芋を使った様な、粉質の仕上がりになります。
当然コクが足りないので、酢、オイル、マヨネース等の調味料、スパイシーに仕上げたり、南瓜サラダによく見る干しブドウなどで甘味を添加するのに都合が良い頃合いです。
時々、ネットリした南瓜にマヨネーズを入れ、干しブドウを入れている重々しいサラダを見ることがありますが、あれは犯罪。
南瓜のマッシュサラダは条件の合うタイミングでしか楽しめない一品です。

また、 イタリアから戻られたシェフは、南瓜のニョッキはお作りにならない方が多いですが、もしかするとあちらはしっとり南瓜が主体だからではないかと思う事があります。
この質感の南瓜でニョッキを作るのは、ありだと思います。
若い南瓜の澱粉には、ジャガイモと性質が違う為に、極端に粘度がありませんので、やり方によっては非常に面白いと思います。
ただし、白皮系の南瓜は若い時分は青臭みが出るので向きません。
緑皮で、しかも高澱粉の特定の品種限定です。

 

 

【若い南瓜:味の不足を補う】
ホクホクとした粉質の若い南瓜に不足するのは、糖分やうま味、そしてコク。
味わいは、非常に未熟です。
そこで、南瓜が熟した際に持つ要素を添加して完成させるのも面白い技。先にご説明した南瓜のマッシュサラダの干しブドウもそうですね。
また、熟した南瓜にはメープル香がある様に思いますが、若い南瓜は持ち合わせません。
そこで、添加し、味を補ってあげます。
私は、二番絞り程度のメープルシロップとお塩を掛けて楽しむのですが、これが面白いほど、見事に熟した南瓜のニュアンスに仕上がります。
ただし、一番搾りだと軽すぎますし、メープル香が強いものは「味のない南瓜のメープルシロップかけ」になってしまいますので、バランスを崩さない為にもメープルの質は重要です。

こうして、若く味のない南瓜に対しては、 甘味を期待しない粉質を生かす料理や、味の不足を補う仕事で、楽しみます。

 

 

【追熟期:ミドルタイムの危険】 
それなりに澱粉化が残りホクホクしていて、それなりに甘みも出てくる“それなりな”ミドルタイムがあります。
品種によっては美味しいものもありますが、一番味わいの輪郭がぼんやりし、中途半端で美味しくないと感じるタイミングです。

この時期は、甘味が不十分で水分率も上がりますので、ともすればべちゃっとした出来損ないの様に感じることがあり、どっちつかずとも言える危険な時期。
過去に経験した“ずくずくのべちゃ南瓜”を、彷彿とさせることがありますので、もしかしたら美味しくない南瓜に当たったかも、と思うかもしれません。
でも実は、熟す過程にあるだけです。

こうした南瓜を美味しく食べる方法は、一切の水分を入れずに逆に凝縮させる丸ごとのロースト。

でも、出来るならこのタイミングで包丁を入れるのは避けたいものです。
もう少し待てば、本当に美味しい南瓜を食べることが出来るからです。

 

 

【完熟:熟したしっとり甘い南瓜】
最終的に、甘味が強くなってしっとりした南瓜は、粉質感を取り戻すことは出来ません。
しっとりした質感や濃厚な味を楽しむ料理に向いています。
スープや南瓜餡など、澱粉質のざらつきのない料理にも向いていますよね。
間違ってもマッシュサラダにはしないこと。二口、三口でお腹いっぱいになってしまいます。
 
味が完成された時期になりますので、調理は最小限でも十二分に美味しいです。
一般家庭では、調理そのものがシンプルになり、蒸す、焼く、などの料理に。 また、その他の調味料は殆ど必要なくなります。

ある料理本で、銀座の某シェフが、オリーブオイルにコーヒービーンズ、そしてガラムマサラを入れ香りを映したオイルを、焼いた南瓜に掛けて食べるレシピを展開されていたのですが、これが本当に素敵。
ローストした香ばしい南瓜の味わいに、コーヒービーンズのほろ苦さや南瓜の中のフレーバーがガラムマサラとぴったり合って、何とも言えない完熟期の南瓜の強さを醸し出していました。
このお料理を若い粉質の南瓜で作ると、南瓜の味とフレーバーの接点が無くなり、不思議と味がまとまりません。

南瓜はいつも味わいに過不足があります。
若い南瓜には足りない分を補い、完熟した南瓜にはさらに強さをプラスするするなどして、味に奥行きを持たせることで自分のイメージにより近づけることが出来ると思います。

 

 

【大いなる悩み、南瓜の含め煮】
ところで、ここ数年、私の一番の悩みは南瓜の含め煮でした。
南瓜の美味しさを考えれば考えるほど、南瓜を煮る行為が何なのか分からなくなってきました。

ホクホクの南瓜に水分(煮汁)をたっぷりをしみこませること。
しっとり甘い南瓜に、更に糖分をいれ、若干ぐずっとなっても煮ること。

これらをどうしても、本来の南瓜の美味しさを引き出す調理方法と思えず、、、。

そして、私なりの結論!!

南瓜の含め煮は、ミドルタイムやどうにもならない南瓜に当たった時に、南瓜の足りない分を補うプラスαの添加の行為であり、本当に美味しい南瓜はそれそのものが完成品。
含め煮の余地なし!!
それより、完熟の南瓜を蒸かした方が、ずっと美味しいのです。

 

 

 

【南瓜の食べ頃】
最後に、こうした食べ頃をどう知るか、ですが、
ホクホク、しっとり、甘味等の変化の速度は、品種で異なります。
見た目の把握はほぼ不可能です。
私達は生産者で、特殊な仕事をしている為、お取り寄せのお客様には品種ごとの食べ頃を、添付してお届けしています。
小売店さんの場合、市場から仕入れをせずに生産者直で売り場があるお店は、状態を把握している場合が多いと思うので、そうした小売店で購入するか、
または、一玉あるならとりあえず最終段階まで置いておく、というのも手です。

本当に南瓜は難しく、毎年、私は悩んでばかりいます。

ホクホク甘い南瓜は存在しません。
思い込みの呪縛から解き放たれましょう。

そして、しっとりとしてた極上の味わいの南瓜も、心の隅っこに置いて下さいね。

 

 

 

追記
南瓜の含め煮全否定は結構な勇気が必要で、最終、友人である奈良の堀江純一郎と確認し、自信をもって仕上げる事が出来ました。
ありがとう!!

 

村上 智華 担当 電話受付・販売

熟成させたじゃがいもの味や質を見極め、販売時期を決める仕事を担当しています。お電話では、個人のお客様からプロの方まで、品種ごとの熟成状態をご説明したり、料理合わせのご提案をしております。お客様と人として寄り添い合い、長いお付き合いを築けたらと思っています。

南瓜の保存

私達の農場では、南瓜を栽培して約14年ほどになります。

当初の2年は自然栽培を行っていました。
現在は、栽培期間中農薬と化学肥料を使わない栽培方法を取っています。
今年は圃場に蜂の巣箱を導入し、かなり良い結果が出ました。

お客様にご案内をさせて頂く立場の私には、南瓜は農場の野菜の品目の中でもすこぶる厄介で、気難しい存在です。
短期間に糖化や水分率が変動すること、それに伴い味の変化が早いこと、そして、なんといってもそれ自体が種になるじゃがいもと違い、種を守っている果肉が劣化(腐敗)するものだからです。

食味に関係性があるものとして、栽培技術以外では、栽培期間中や収穫直前の気候が上げられます。
昨年の南瓜に関しては、干ばつの影響で、超粉質に仕上がり、
今年は台風やゲリラ豪雨の影響で昨年よりも、やや水分率の高い仕上がりになりました。
南瓜はじゃがいもと違い、収穫直前の水分含有量がそのまま残る傾向がありますので、現場では超高畝での栽培を心がけています。それでも、今期の様な気候の年は、上手く仕上がるかドキドキでした。

ただ、農場では、ここ数年で栽培技術の向上と共に、品種選考の見極めもかなり進みましたので、高澱粉に仕上がりやすい品種に助けられて、今年も結果を残すことが出来たと思います。

畑に合う品種、優れた品種を選ぶのは結構時間が掛かるもので、
じゃがいもは、おおよそ3年、
南瓜は気候の影響を受けやすいので、もっと長く掛かります。

毎年、私たちの農場では「とうもろこしと南瓜」については、例年販売品種以外にも同時に3品種程度で試験栽培行い、更なる優良品種の見極めを行っています。ある程度の量を作らなければ、データが取りにくい事もあり、これが結構大変!
栽培も販売も綺麗にこなさなければなりませんし、品種の出来を一定以上に作り上げなければ、私たちの農場では販売に踏み切れない事になるのですから。

 

【まずは、南瓜の保存性について考えてみましょう。】

本来、南瓜が保存食であれば、需要のある12月の冬至シーズンにお店に並んでしかるべきなのですが、実際12月に見かける南瓜は殆どが輸入物です。 12月、冬至に南瓜を食べる習慣があるにも関わらず、南瓜が無くなるのはとても不思議な事ですよね。
じつは、南瓜は保存食であり、保存食にあらず、なのです。

 

南瓜の保管の最適温度はおおよそ13℃です。
そして、私調べ(笑)では、13℃を下回るよりも上回る方がずっとお日持ちがします。
実際、私たちの農場ではお電話で受注をする形をとっていますので、昨年度複数個を保管の目的でご購入されたお客様に今年の秋にどのくらいまで日持ちしたかをお聞きし、様子を伺いました。
すると、昨年一番遅くまで保管されていたのは、なんと宮崎県のお客様で、秋にお届けしたものを4月までお持ちになっていたとか。福岡のお客様も3月までお持ち頂いた方がいらっしゃいました。お二方とも、10個程度お届けした中で、数個が日持ちしていたとしたら、かなりの確率ですよね。
だって、9月に収穫した南瓜が6~7ヶ月、お日持ちたことになるのですもの。

一方で、秋に収穫した後の北海道は10月半ばを過ぎると夜の気温が10度を下回ることが多くなってきます。私たちの農場ではじゃがいもは2~3℃に近い温度帯、南瓜は13度に近い温度帯を狙っており、保管は別々の場所で環境を整えて行います。それでも、11月に入ると保管していた南瓜が一気に弱り始める傾向にある為、南瓜の販売を10月末日までの目標に定めています。
また、農場の中で温度を保ち健康に保管しても、輸送中に冷気にさらされると一気に弱り傷みます。急激な温度変化にも、弱いのです。

つまり、南瓜に関しては北海道では特殊な施設がない限り、生産農場で長期間保管するのは困難で、 且つ、輸送中に冷気にさらされたり、環境の変化のダメージが大きい事を考えると、結局は早い時期にお客様の元にお届けするのが一番長く楽しんでいただくコツです。
昨年は、こうしたご提案の反響が大きく、沢山の方に複数個のご購入を頂き、結果としてお日持ちもしたことが喜ばれました。

 

ちなみに、南瓜の経過観察としては、

 

・ヘタの周りが一番傷みやすいので、時々見てあげる事。おそらく水分率が一番上がりやすい部分な
  のではないかと思います。ヘタの周りの皮に、柿が熟した様な透明感が出てきたら「もう食べて~」
  という合図です。

                                                                                             
・栽培期間中、茎が当たったり、何かの衝撃を受けた場合、その部分の皮から傷む場合があります。
   目に見える傷ではなくても、小さな摩擦などにも影響を受けますので、皮にも注意します。

 

・逆に、南瓜は内側から傷むことは殆どありません。

 

南瓜の保存は栽培中や保存の環境に大きく影響を受け、勿論個体差によっても違いが出ます。
ですから、まずは安定した環境で様子を見ながらじっくり保管し、弱りかけたものから食べて行く、それが正しい南瓜の保管方法だと、私は認識しています。
もちろん、品種や固体を選び、環境さえ合えば、冬至までは楽にお日持するでしょう。でも、お手持ちの個体が、本当に冬至まで日持ちするかは誰にもわかりません。だからこそ、複数個とのんびりお付き合いをし、傷むようなら先に食べていく関係性の保存食であると思います。

 

 

南瓜の保存性はそれど強いものではない事がお分かりいただけたのではないでしょうか。
結局は、冬至に南瓜を突然手に入れようと思うのは、人間のエゴなのです。

                                                                                                 

では、次は、食べ頃についてお話ししましょう。

 

 

 

村上 智華 担当 電話受付・販売

熟成させたじゃがいもの味や質を見極め、販売時期を決める仕事を担当しています。お電話では、個人のお客様からプロの方まで、品種ごとの熟成状態をご説明したり、料理合わせのご提案をしております。お客様と人として寄り添い合い、長いお付き合いを築けたらと思っています。

南瓜の種をまきました♪

DSCF3612♪お寺の和尚さんが南瓜の種をまきました♪

皆様こんにちは。村上農場の面々も南瓜の種をまきました。ついのんきな出だしにしてしまいましたが、今年も村上農場は南瓜に力を入れています。昨年産の味が非常によかったため、今年もよいものを作ろうと燃えています。
現在は種から芽だしした苗を鉢に植え替え、ハウスにて育苗しています。ハウスにずらっと並んだ南瓜の子供達が見事で写真を撮ってみました。品種ごとに鉢の色を変えています。なんといっても苗づくりがとても大切ということを再認識し、苗を強く育てており、毎日我が子たちがすくすく育つのが楽しみです。数日後には、ハウスから旅立ち、畑に定植されることになります。

早く食べたいなと思うこの頃です(早過ぎですね)。今年もおいしい南瓜をつくるぞ!
また、今年は強力な助っ人を南瓜に使うことにしています。それについてはまた後日ご紹介致します!

津守 佑亮 担当 じゃがいも、南瓜、ハーブ

安全でおいしいものを食べる。あたりまえのことを守りたい。そして国際開発協力の世界から村上農場に。二男二女の父親。仕事が楽しい、子供達がいとおしい。時間がぜんぜん足りない!幸せものです。くたくたに働いて夕日を見るのがたまらない。「なんという今だ。今こそ永遠。」(河井寛次郎)

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