南瓜の保存

私達の農場では、南瓜を栽培して約14年ほどになります。

当初の2年は自然栽培を行っていました。
現在は、栽培期間中農薬と化学肥料を使わない栽培方法を取っています。
今年は圃場に蜂の巣箱を導入し、かなり良い結果が出ました。

お客様にご案内をさせて頂く立場の私には、南瓜は農場の野菜の品目の中でもすこぶる厄介で、気難しい存在です。
短期間に糖化や水分率が変動すること、それに伴い味の変化が早いこと、そして、なんといってもそれ自体が種になるじゃがいもと違い、種を守っている果肉が劣化(腐敗)するものだからです。


食味に関係性があるものとして、栽培技術以外では、栽培期間中や収穫直前の気候が上げられます。
昨年の南瓜に関しては、干ばつの影響で、超粉質に仕上がり、
今年は台風やゲリラ豪雨の影響で昨年よりも、やや水分率の高い仕上がりになりました。
南瓜はじゃがいもと違い、収穫直前の水分含有量がそのまま残る傾向がありますので、現場では超高畝での栽培を心がけています。それでも、今期の様な気候の年は、上手く仕上がるかドキドキでした。

ただ、農場では、ここ数年で栽培技術の向上と共に、品種選考の見極めもかなり進みましたので、高澱粉に仕上がりやすい品種に助けられて、今年も結果を残すことが出来たと思います。

畑に合う品種、優れた品種を選ぶのは結構時間が掛かるもので、
じゃがいもは、おおよそ3年、
南瓜は気候の影響を受けやすいので、もっと長く掛かります。

毎年、私たちの農場では「とうもろこしと南瓜」については、例年販売品種以外にも同時に3品種程度で試験栽培行い、更なる優良品種の見極めを行っています。ある程度の量を作らなければ、データが取りにくい事もあり、これが結構大変!
栽培も販売も綺麗にこなさなければなりませんし、品種の出来を一定以上に作り上げなければ、私たちの農場では販売に踏み切れない事になるのですから。

 

【まずは、南瓜の保存性について考えてみましょう。】

本来、南瓜が保存食であれば、需要のある12月の冬至シーズンにお店に並んでしかるべきなのですが、実際12月に見かける南瓜は殆どが輸入物です。 12月、冬至に南瓜を食べる習慣があるにも関わらず、南瓜が無くなるのはとても不思議な事ですよね。
じつは、南瓜は保存食であり、保存食にあらず、なのです。

 

南瓜の保管の最適温度はおおよそ13℃です。
そして、私調べ(笑)では、13℃を下回るよりも上回る方がずっとお日持ちがします。
実際、私たちの農場ではお電話で受注をする形をとっていますので、昨年度複数個を保管の目的でご購入されたお客様に今年の秋にどのくらいまで日持ちしたかをお聞きし、様子を伺いました。
すると、昨年一番遅くまで保管されていたのは、なんと宮崎県のお客様で、秋にお届けしたものを4月までお持ちになっていたとか。福岡のお客様も3月までお持ち頂いた方がいらっしゃいました。お二方とも、10個程度お届けした中で、数個が日持ちしていたとしたら、かなりの確率ですよね。
だって、9月に収穫した南瓜が6~7ヶ月、お日持ちたことになるのですもの。

一方で、秋に収穫した後の北海道は10月半ばを過ぎると夜の気温が10度を下回ることが多くなってきます。私たちの農場ではじゃがいもは2~3℃に近い温度帯、南瓜は13度に近い温度帯を狙っており、保管は別々の場所で環境を整えて行います。それでも、11月に入ると保管していた南瓜が一気に弱り始める傾向にある為、南瓜の販売を10月末日までの目標に定めています。
また、農場の中で温度を保ち健康に保管しても、輸送中に冷気にさらされると一気に弱り傷みます。急激な温度変化にも、弱いのです。


つまり、南瓜に関しては北海道では特殊な施設がない限り、生産農場で長期間保管するのは困難で、 且つ、輸送中に冷気にさらされたり、環境の変化のダメージが大きい事を考えると、結局は早い時期にお客様の元にお届けするのが一番長く楽しんでいただくコツです。
昨年は、こうしたご提案の反響が大きく、沢山の方に複数個のご購入を頂き、結果としてお日持ちもしたことが喜ばれました。

 

ちなみに、南瓜の経過観察としては、

 

・ヘタの周りが一番傷みやすいので、時々見てあげる事。おそらく水分率が一番上がりやすい部分な
  のではないかと思います。ヘタの周りの皮に、柿が熟した様な透明感が出てきたら「もう食べて~」
  という合図です。


                                                                                             
・栽培期間中、茎が当たったり、何かの衝撃を受けた場合、その部分の皮から傷む場合があります。
   目に見える傷ではなくても、小さな摩擦などにも影響を受けますので、皮にも注意します。

 

・逆に、南瓜は内側から傷むことは殆どありません。

 

南瓜の保存は栽培中や保存の環境に大きく影響を受け、勿論個体差によっても違いが出ます。
ですから、まずは安定した環境で様子を見ながらじっくり保管し、弱りかけたものから食べて行く、それが正しい南瓜の保管方法だと、私は認識しています。
もちろん、品種や固体を選び、環境さえ合えば、冬至までは楽にお日持するでしょう。でも、お手持ちの個体が、本当に冬至まで日持ちするかは誰にもわかりません。だからこそ、複数個とのんびりお付き合いをし、傷むようなら先に食べていく関係性の保存食であると思います。

 

 

南瓜の保存性はそれど強いものではない事がお分かりいただけたのではないでしょうか。
結局は、冬至に南瓜を突然手に入れようと思うのは、人間のエゴなのです。

                                                                                                 

では、次は、食べ頃についてお話ししましょう。


 

 

 

村上 智華 担当 電話受付・販売

熟成させたじゃがいもの味や質を見極め、販売時期を決める仕事を担当しています。お電話では、個人のお客様からプロの方まで、品種ごとの熟成状態をご説明したり、料理合わせのご提案をしております。お客様と人として寄り添い合い、長いお付き合いを築けたらと思っています。