村上農場のお豆たち 秋に収穫したお豆は、悪い豆や枝葉屑を取り除き磨く、「調整・選別」が必要です。 ただ、それを一粒づつ人の手で行うのはとても労力のいる作業で、業者が機械で行とても効率が良いのですが、調整選別した業者さんから販売になる為、一般の方々は殆どの豆に関し、誰がどう作ったのか知る事が出来ません。 特に販売をスタートさせた15年前は、今の様な産地偽装等に無頓着な世の中で、不透明な時代。更に、お豆は等級を基準に価格が決まり取引がされ、味は考慮されにくい野菜です。 それでも、他の野菜同様に、生産者を知り、生産者の作る味や個性を楽しむ選択肢があってしかるべきではないか。そんな想いから、私たちは農場内で一粒一粒手選別、手磨きをする試みスタートさせました。 私たちは手間暇掛けても、農業者の努力で世の中に新しい基準や流れを生みだせると信じているのです。 村上農場では、村上知之農場長がスタッフと共に責任を持って栽培したお豆を、農場のメンバーの手で選別し磨き上げ、「村上農場のお豆」として、ドアtoドア(農場からお宅へ直接)で、お届けしています。手間暇惜しまず、種まきから収穫、選別、袋詰めまで大切に作り上げたお豆です。 どうぞ、美味しく召しがっていただけますように。 [豆の味を作る仕事] ■春 6月種まきをします。芽が出ると間もなく、竹の手を芽の近くに刺し、四本一組で倒れないように竹を組み縛ります使う竹は例年3万本。全て人の手で行うのですが、高い場所で紐を縛る為に、数時間も手を上げたままにする作業が続くと、血が通わずに指に力がはいらなくなります。竹を運ぶのも勿論重労働、過酷な作業です。その後、数時間経たずに蔓が竹に巻き付きます。中には隣の竹に向かう蔓もいますが、手取り除草の障害になる為、優しく一番近い竹に帰す作業をします。 ■夏 7月末ころから少しずつ花が咲き始めます。蔓は最長で6メートル程に伸びます。この時期曇天が続くと、花咲が悪くなり、充分な受粉が出来ずに豆の鞘(さや)の数に影響が出る為、お日様が大切です。私たちの農場では南瓜と蔓性の豆を隣合わせて植え、蜂の巣箱を置きます。この時期は南瓜の受粉と豆の受粉に蜂も大忙し。8月末になると、ジャングルの様に育った豆の中に沢山の蝉やその他の虫が遊びにやってきます。お豆と南瓜を隣り合わせに植えるのは、農薬を使わないエリアを固め近隣の農薬から蜂を守る為でもあります。 ■秋 いよいよ収穫です。まずは人の手で地上10cm程の高さで豆の茎を切り、豆が竹に巻き付いたままの宙に浮いた状態で、しばらく天日乾燥させます。その後、縛っていた紐を外し、竹を抜きます。豆を蔓ごと集め、“すのこ”の上に“にお積み”をして、再度天日乾燥させます。品種によってはそのまま畑で豆お年をします。 ■冬 お豆の選別・調整作業に入ります。とうみを掛け、一粒づつ人の手で選別、磨きを掛けて袋詰めします。 えりも小豆と音更大袖振大豆の機械選別について 私達の農場のこうした想いにご賛同頂きお豆腐や和菓子にお使い頂く量が増えた為、平成27年度産のえりも小豆と音更大袖大豆の2品種に限り。機械選別を行う運びとなりました。選別後農場で必ず状態を確認しながら、機械では選別しきれなかったものを手で選別しなおし、袋詰めさせて頂きます。 [お豆の品種と特性] MIXビーンズ 白花豆・紫花豆・虎豆・中長うずら・福白金時・大正金時・パンダ豆・音更大袖振大豆・貝豆・鞍掛豆・緑貝豆 11品種のミックスビーンズ。農場の一番人気です。 大正金時 煮豆の代表格。甘煮だけでなく、チリビーンズなどの洋風料理にもぴったり。適度なコクがあり、使いやすい人気の品種です。 福白金時 レストランからのオーダーが一番多い品種です。肉・魚介・野菜等、どんな食材とも馴染みます。本来は白餡用の品種なので甘煮等にも。マルチに使えるお勧め品種。 福粒中長うずら 半ツル性で、一般的な中長うずらに比べ栽培と収穫に手がかかります。 コクがあって、洋風料理にも向きます。 煮豆や、スープ、煮込み料理に最適。 えりも小豆 香りのよいのが特徴です。栽培に技術が必要で、最近は新品種にとって代わり、生産量が減少している品種です。冷涼な地での栽培の為か澱粉化が高く、炊き始めはホクホクとして美味しいです。 白花豆 白色のお豆の王様。炊き上りはふくふくとして、食べ応えがあります。マッシュしても美味しいです。 紫花豆 お豆の王様。濃厚で大粒、炊き上りはふくふくとして食べ応えがあります。 音更大袖振大豆 膨張率が高く大粒で存在感のある大豆です。うまみたっぷり、ふくよかで上品な味わいが特徴です。栽培が難しく収穫量が少ない為に、栽培面積の少ない希少な品種です。 にお積みで乾燥させています。 紅絞り 重すぎず軽すぎない、程良い風味は用途を選びません。皮がやわらかく、火も通りやすいのが特徴です。 虎豆 ホクホクした大粒のお豆。味わいは甘みとコクがありますが、後口はさっぱり。存在感と食べ応えがあります。 栗豆 北海道でもなかなか見ない在来種。栽培が難しい品種です。他の品種に比べ、炊き上がりにやや時間が掛かりますが、甘納豆風に仕上げると、マロングラッセの様なねっとりとした食感が楽しめます。正に栗のよう。人気品種です。 パンダ豆 澱粉価が高く、煮戻すと丸々と太った様に膨らみ、その姿はパンダの様です。色落ちしないのでお料理の中でも、もとても映えるお豆です。 貝豆 花豆系と同じく、ツルがあり栽培・収穫に手が掛かります。 濃厚な旨みは、味付け無しでも美味しい! 雪手亡豆 福白金時に比べ小粒で小さいですが、膨張率が高く、煮上がり後は気になりません。澱粉価が非常に高くホクホクとしています。一般的には和菓子用の品種ですが、レストランからのオーダーが多い品種です。 鞍掛豆 茶豆や黒大豆のようなコクのある味わい