[栽培] 5月初旬〜9月中旬 村上農場では約30種類のじゃがいもを栽培しています。 その全ての品種はまるで違う作物の様に、必要な肥料の量、株の大・小、背丈の高・低、土中に出来る芋の深・浅などが異なります。 30種類のじゃがいもを育てる事は、30種類の野菜作りに等しい知識や経験が必要です。 じゃがいもは全て特別栽培、又は農薬と化学肥料を使わない栽培方法のいずれかで育てています。 [収穫] 8月下旬〜10月初旬 一般的に使われる茎葉処理剤などの薬品を一切使用せず、肥料などの調整で適期にじゃがいもの命を全う、完熟させます。 人間の都合によって、若い時に掘り上げる事はありません。 じゃがいもは、茎や葉が枯れて初めて完熟するもの。 未熟なまま収穫されたお芋は、貯蔵熟成を経ても美味しくなりません。 畑できちんと育ててられたお芋だけが美味しい熟成を遂げると考えています。 [熟成のタイプ] ■熟成庫熟成 12月〜翌年6月頃 新じゃが独特の美味しさがを楽しんだ後、11月末からゆっくりと質と味わいの変化が始まります。一日の最低気温が氷点下前後になると、熟成の準備が整い、外気温の影響を受けて追熟がスタートするのです。私たちの使う熟成庫には断熱材が入っていない為、熟成庫の内部でも、中心部と北壁側では温度が変わります。その為、品種の状態によっては場所を入れ替えるなどの操作をしながら、熟成を促進させることもあり、冬季の人の感覚・手による温度管理はとても大切です。 農場では12月からを追熟初期、中期~長期と追熟期と考えていますが、年ごとに品種の追熟スピードが変わる為に、小まめな手入れを連動させて、追熟を掛けていきます。 ■雪下熟成 3月下旬〜 農場独自の特別な味作りとして、雪の下に埋め寝かせる熟成方法です。秋に一度掘り起こしたじゃがいもを、積雪後、屋外の雪の下に埋め込んで、味を作ります。これによりショ糖が約2倍に増え、お菓子の様な極甘の味が生まれます。 農場では十数年前、雪の下へ埋め込む貯蔵技術の文献が存在しなかったことから、大量のじゃがいもを雪下貯蔵が可能なのか、解明する取り組みを始めました。当初は貯蔵技術の習得が目的だった為に「雪下貯蔵」と呼んでいたのですが、試行錯誤の中、独特の熟成に成功、「雪下熟成」が誕生しました。こうしたパターンの違う貯蔵・熟成によって、同じ日、同じ時間、同じ畑で採れた同一品種でも全く違う味を作ることが出来る、「熟成」とはとても不思議なものです。 雪下熟成は、3月に掘り起こして楽しむ、春間際のとても贅沢なお味です。 ■長期熟成 7月末~ 秋に収穫したインカのめざめを11ヶ月〜12ヶ月の長期に渡り、適正な温度の管理下で、ゆっくり熟成を掛けて仕上げる熟成方法です。 インカ系品種は収穫後の休眠性(芽が出る期間)が極端に短く、収穫前にも芽を出す個体もあります。その為、収穫してからティスティングの販売決定まで、大型冷蔵庫と冬場の外気温を数度に渡って使い分け、味を調えていきます。 味わいは、栽培中の気候や熟成庫での熟成期間中の外気温の影響を受けますが、最終の仕上げとして冷蔵庫の温度も重要で、熟成具合を見ながら調整します。 年によっては糖度が17〜18度まで上がることもありますが、私たちは骨太な味の上に糖度が生きると考え、糖度に負けない「じゃがいもの土台の味」を重視しています。 おおよそ、例年7月末から8月上旬の販売、正し、ご予約は前年度の9月から賜ります。 [出荷] 9月初旬〜7月末 品種よって、一番早いもので2週間後、遅いものでは約12カ月の追熟期間を経て、販売が決定し、出荷となります。 お届け後の状態を考えて作り置きなどはせず、ご注文後に土を落として箱詰め、ご発送となります。 [じゃがいものお話] 味を作る 美味しく食べる 品種と特性